「仕上げ磨きをしているのに、奥歯にむし歯ができてしまった…」
そんなお悩みをお持ちの親御さんへ。

実は、歯の“形”が原因で、どうしても汚れが残りやすい場所があります。そこで歯科医院で勧められるのが「シーラント」という予防処置。

今回は、シーラントとは何か・何歳からできるのか・保険適用されるのか・盲孔（もうこう）への処置など、よくある疑問にお答えします。

■シーラントとは？

シーラントとは、奥歯の溝をプラスチックの樹脂（レジン）でふさぐ処置です。
生えたての永久歯や乳歯の噛み合わせ面には、「小窩裂溝（しょうかれっこう）」という深い溝があります。

この溝に食べかすや汚れが入り込むと、歯磨きではきれいに取り切れず、むし歯の原因に。 そこで、シーラント材で溝をあらかじめ埋めて、むし歯菌の侵入を防ぐというのがこの処置の目的です。

削らずに済む・痛みがない・数分で終わる、と子どもにもやさしいのが特徴です。

■何歳からシーラントは必要？

基本的には、6歳前後から12歳ごろまでの子どもが対象です。
この時期は、「6歳臼歯」や「12歳臼歯」などの永久歯が順に生えてくるタイミング。

生えたばかりの歯はまだやわらかくむし歯になりやすいため、歯が生えた直後のタイミングでのシーラントがもっとも効果的です。ただし、乳歯に対しても溝が深くむし歯リスクが高い場合には、3～5歳ごろに行うこともあります。

■シーラント、保険は適用されるの？費用は？

気になるのが保険適用の有無。
シーラントは、条件を満たせば保険診療が可能です。
たとえば、

• ・6～12歳の永久歯

• ・初期むし歯の予防目的

などの条件を満たす場合、1歯数百円程度で済むことが多いです。一方で、むし歯が進行している歯や、20歳以降の予防処置では自費になるケースもあります。
受診前に、対象年齢や保険適用について歯科医院に確認しておくと安心です。

■「盲孔（もうこう）」ってなに？前歯にも使うの？

実は、奥歯の溝以外にもむし歯になりやすいのが上の前歯の裏側にある「盲孔（もうこう）」というくぼみです。

特に上の1番前歯（中切歯）の裏には、穴のようなくぼみができやすく、ここからむし歯になるケースも。この「盲孔」も状態によってはシーラント処置の対象になることがあります。歯科医師が必要性を判断してくれるので、気になる方は検診時に相談してみましょう。

■シーラントは一度やれば安心？

残念ながら、シーラントは永久的なものではありません。歯ぎしりや食いしばり、経年劣化によって剥がれたり、欠けたりすることも。そのため、定期的な検診でのチェックとメンテナンスがとても重要です。落ちてしまっても再処置は可能なので、気づいたら早めに受診しましょう。

【むし歯になる前に、守るという選択を】

シーラントは、むし歯になりやすい部分を“ふさぐ”ことで、リスクを事前に減らす「予防型」の治療です。特に、奥歯の深い溝や盲孔のような“磨きにくい場所”をカバーするのに効果的です。

むし歯治療よりもずっと簡単で、費用も抑えられるので、「生えたての歯を守るチャンス」として積極的に活用していきましょう。「シーラントってうちの子にも必要？」そう感じたら、ぜひ定期検診の際にご相談ください。