「年を取ると仕方なく歯が抜ける?」
「抜ける歯の原因って何?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、今回は大人の歯が抜けてしまう主な原因と、年代ごとの進行傾向をわかりやすく解説します。
目次
■永久歯が抜ける主な原因は?
歯の喪失原因は年齢にかかわらず大きく3つあり、その中で最も多いのは 歯周病 です。
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8020推進財団による調査では、最も多い抜歯原因は「歯周病」で1%。これに続くのがむし歯(う蝕)29.2%、破折17.8%です。
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また、別のデータでは、歯周病とむし歯を合わせると約66%を占めるという報告もあります。
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さらにある医療機関の調査では、84%以上が「歯周病またはむし歯」が原因で歯を失っているという結果も示されています。
つまり、大人の歯が抜ける原因の約7~8割は「歯周病かむし歯によるもの」と言えるのです。
※公益財団法人 8020推進財団|歯を失う原因の第1位は歯周病!
■どの年代で歯を失いやすい? 年代別に見る喪失本数
厚生労働省「歯科疾患実態調査」によると、大人が歯を失い始める年齢は40代から。
年代別の喪失本数は以下のように推移します。
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40代:平均約5本
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50代:平均約5本
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60代:平均約3本
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70代:平均約8本
こうしたデータから、40歳から少しずつ歯を失い、70代以降は喪失が急激に進む傾向が見て取れます。
■年齢ごとの抜歯原因の特徴
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40代以下:
主にむし歯による喪失が多く、治療した歯の再発なども影響します。
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50代以降:
この年代から歯周病が進行し、抜歯原因のトップに転じることが多くなります。例えば、50代まではむし歯による喪失が目立つものの、55歳以降は歯周病による抜歯の割合が逆転し、以降ずっと最多となる傾向があります 。
※医政局歯科保健課 歯科口腔保健推進室|歯周病罹患の現状と対策について
■永久歯の喪失状況から見る「歯の寿命」
8020推進財団によれば、「喪失歯が1本でもある人」の割合は、
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45~49歳で3%
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50歳前後では8%
になるとのこと。つまり、50歳前後には約半数の人がすでに歯を1本以上失っているという現実があります。
「20本以上の歯がある人」の割合も年代で減少し、
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70~74歳では3%
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80~84歳では9%
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85歳以上では0%
と、年齢とともに歯の本数が減っていく傾向がうかがえます。
■なぜ歯周病がこんなに怖いのか?
歯周病は自覚症状がほとんどなく進行するため、“沈黙の病気”とも呼ばれています。症状が出たときには、すでに歯を支える土台(歯槽骨)が大きく減っていることが多いのが特徴です。
さらに放置すると歯周ポケットが深くなり、歯はグラグラと揺れ始め、最終的には自然に抜けてしまうようになります。
■備えておくべき予防策まとめ
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定期検診で早期発見・早期対策:歯周病もむし歯も、進行を止めたり被害を抑えたりすることが可能です。
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毎日のプラークコントロール:丁寧に歯磨き・フロスを使う習慣が基本です。
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生活習慣の見直し:喫煙や糖質の多い食生活など、歯周病リスクが高まる習慣は避けましょう。
【40代からは特に「歯周病予防」がカギ】
「歳だから仕方ない」は通用しません。日々のケアと早めの受診で、早期発見・早期治療を行うことが大切です。歯周病やむし歯は早めに気づいて治療を行えば簡単な処置で済んだり、費用負担も少なくなります。
痛みで病院を受診する前に、セルフケアや定期検診を利用して大切な歯を守り続けましょう。