「セラミックの詰め物・被せ物にしたいけど、本当に自然な白さになるの?」
「天然の歯とセラミックの歯は見た目でわかっちゃう?」
セラミックでできた詰め物・被せ物を入れることをセラミック治療、または、メタルフリー治療と呼びます。
セラミック治療では、歯科医師と歯科技工士が色合わせをした上で、さまざまな種類のセラミックから患者さまに合った物をご提示します。
お1人お1人の患者さまで異なる歯の白さを十分に考慮し、素材をご提示しますが、セラミックの種類によっては歯の白さの再現性に多少劣る物もあります。
今回は、「種類別:セラミックの美しさの違い」、および、「自然な白さの歯に近づけるには」についてお話しします。
目次
■セラミックの美しさ・自然な白さを決めるのは「透明感」
◎透明感があるセラミックほど、自然な白さの歯に近づけられます
セラミックの美しさ・自然な白さを決めるのは「透明感」です。透明感があるセラミックほど、自然な白さの歯に近づけられます。
◎目的に合わせてセラミックの種類を選ぶことが大切
天然の歯のエナメル質は透明度が高く、光をよく透します。自然な白さの歯に近づけるためには、天然の歯のエナメル質のような、透明度が高く光をよく透す種類のセラミックを選ぶことが大切です。
■セラミックの中でもっとも美しいのは?
◎もっとも透明度が高く美しいセラミックは、長石系ガラスセラミックの「ポーセレン」
歯科素材として用いるセラミックは大きく分けて以下の3種類があります。
・ガラスセラミック············· ポーセレン(長石系ガラスセラミック)、e-maxなど
・酸化セラミック················· ジルコニア
・ハイブリッドセラミック······ セラミック+レジン(プラスチック樹脂)
歯科素材のセラミックの中で、もっとも透明度が高く美しいのは長石系ガラスセラミックのポーセレンです。ポーセレンは透明度が高く、光をよく透すため、天然歯のエナメル質に近い自然な白さの美しい歯を再現できます。
{ポーセレンは強度が低い点がデメリット}
もっとも透明度が高く美しいセラミック、ポーセレン。こう聞くと、「じゃあ、セラミックはすべてポーセレンを選べば良いんだね」と思われるかもしれません。
ポーセレンは美しさがある反面、強度が低いのがデメリットです。
ポーセレンは80~120MPa程度の強度のため、ポーセレン単体では歯の詰め物・被せ物にはあまり適しません。
ご参考までに、人の身体の組織の中でもっとも硬い歯のエナメル質の強度(曲げ強度)が80~90MPa前後です。
歯ぎしりなどで割れることもあるエナメル質と同程度の強度では、詰め物・被せ物としての丈夫さは足りません。
かつては、ポーセレンのみで作られた詰め物(ポーセレンインレー)や金属のフレームの外側にポーセレンを焼き付けた被せ物(ポーセレンメタルボンド)を用いていた時代もありました。しかし、割れたり欠けることがあったため、現在では、ポーセレンのみで作られた詰め物やポーセレンメタルボンドはほぼ用いられなくなっています。
◎透明度の高さとしなやかさを併せ持つガラスセラミック「e-max」
ガラスセラミックの中には、透明度が高く、しなやかな弾力性を持つ「e-max」もあります。
e-maxは二ケイ酸リチウムガラスを主な素材として作られたガラスセラミックです。透明度が高く、e-maxの詰め物・被せ物にすることで自然な白さの歯の見た目に近づけられます。
透明度の高さに加え、e-maxはしなやかさがあり強度が高い点も特長の一つです。
ニケイ酸リチウムガラスがもたらすしなやかさ+360~400MPa前後の強度により、前歯から奥歯まで、e-maxは広い範囲の詰め物・被せ物に用いられています。
{ポーセレンとe-maxではどっちが自然な白さの歯に近づけられるの?}
共に透明度が高く、自然な白さの歯に近づけられるポーセレン&e-max。
どちらも、美しさ(e-maxは美しさ+しなやかさ)が特長のセラミックですが、自然な白さの再現性においてはポーセレンが優れています。
e-maxは透明度が高い反面、高すぎる透明度によって多少、「歯が美しくなり過ぎてしまう」可能性があります。
ただし、ポーセレンとe-maxの透明度・自然さの違いは一見しただけではほぼわからない程度のものです。セラミック治療においては、自然な歯の色を求められる前歯の被せ物には主にポーセレン、e-maxが用いられています(※)。
(※)e-maxは奥歯への適応も可能です
■強度が高いセラミック「ジルコニア」
◎現在は、強度が高いジルコニアが歯科用セラミック素材の主流に
美しさがあり、自然な白さの歯に近づけられるセラミック、ポーセレン。美しさがある反面、ポーセレンは強度が低いため、単体では詰め物・被せ物には適しません。
ポーセレンの強度の低さを補う素材として、近年、歯科治療で主流になっているのがジルコニアセラミックです。
ジルコニアは金属(銀歯)と同程度かそれ以上の強度(700~1,500MPa前後)を持つ、非常に硬いセラミックです。強度が高いため、セラミックの詰め物・被せ物の素材として、現在は一般的にジルコニアが用いられています。
■オールセラミックとは?
◎ジルコニアフレーム+ポーセレンのオールセラミックの詰め物・被せ物で強度が高く、自然な白さの歯にアプローチ
詰め物・被せ物の内側のフレームをジルコニアで作製し、ジルコニアフレームの外側にポーセレンを焼き付けたオールセラミック(ジルコニアフレーム+ポーセレン)がセラミック治療では一般的に用いられています(※)。
(※)e-maxフレーム+ポーセレンのオールセラミックなど、
オールセラミックは素材によって複数の種類があります。
オールセラミックはジルコニアの強度の高さ+ポーセレンの美しさにより、自然な白さの歯に近づけられる補綴物として、主に前歯のセラミック治療で用いられます。当院でも、ジルコニアフレームにポーセレンを焼き付けたオールセラミック「プレミアムダイヤモンドセラミック」を採用しています。
■ジルコニアの美しさ・自然さは?
◎従来型ジルコニアは歯の白さの再現性に多少劣ります
強度が高いセラミック、ジルコニア。ジルコニアはオールセラミックの詰め物・被せ物の内側のフレーム素材としてよく用いられています。
フレームのほか、詰め物・被せ物の素材すべてをジルコニアのみで作製したフルジルコニアもあります。フルジルコニアは詰め物・被せ物全体がジルコニアでできているため強度が高く、割れや欠けに強い点が特長です。
割れや欠けに強いフルジルコニアですが、デメリットもあります。ジルコニアの種類の中でも、従来型ジルコニアで作られているフルジルコニアは歯の白さの色調の再現性に多少、劣るのです。
再現性に劣るため、従来型ジルコニア製のフルジルコニアの詰め物・被せ物はのっぺりとした不自然な白さに見えてしまうことがあります。このため、従来型ジルコニア製のフルジルコニアは主に、外から見えにくい奥歯の詰め物・被せ物に用いられています。
■高透光性ジルコニア&多層構造のジルコニアの普及
◎光を透しやすい高透光性ジルコニアの登場
これまで、ジルコニア(従来型ジルコニア)は歯の白さの色調の再現性に多少劣る面がデメリットでした。
現在は、光を透しやすく、自然な白さの歯に近づけられる高透光性ジルコニアが開発され、普及し始めています。美しさ・自然さの改善により、前歯の補綴にも高透光性ジルコニアでできたフルジルコニアクラウンが用いられるようになってきました。
◎多層構造のジルコニアで天然歯に近いグラデーションを再現
高透光性ジルコニアに加え、現在は複数の層が重なってできた多層構造(マルチレイヤー)のジルコニアも登場しています。
多層構造のジルコニアセラミックは複数の層により、天然歯のエナメル質から象牙質、および、歯冠から歯頚部へのグラデーションを再現しやすいです。多層構造のジルコニアセラミックが登場したことで、より自然な印象の詰め物・被せ物を作製できるようになりました。
高透光性+多層構造のジルコニアも普及し始めており、今後のセラミック素材の進化が期待されています。
【セラミック治療の無料相談を行っています】
ファミリアデンタルオフィスではセラミック治療に関するご質問やご希望をお伺いしております。セラミックの詰め物・被せ物をご検討中の方はぜひ、当院の無料相談をご利用ください。
カウンセリングでは歯科医師が患者さまのお話を詳しくお伺いし、1人ひとりに合った治療方法・素材をご提案いたします。