硬い物を噛んだ、転んで歯を強くぶつけたなど、何らかの原因によって歯が欠けてしまうことがあります。
歯が欠けたときは、どうすれば良いのでしょうか?
目次
■歯が欠けたときの対処方法
◎痛みの有無に関わらず、できるだけ早めに歯科医院を受診しましょう
歯が欠けたときは、痛みの有無に関わらず、できるだけ早めに歯科医院を受診しましょう。
欠けた歯がある場合は、欠けた歯を持参して歯科医院を受診することをおすすめします。
欠けた歯を持参することをおすすめするのは、歯の保存状態にもよりますが、欠けた歯をくっつけられる場合があるためです(欠けた歯の保存方法については、後述する「応急処置」の項でお話しします)。
■歯が欠けた状態を放置すると、どうなるの?
◎歯が欠けた状態を放置するのはよくありません
歯が欠けてしまったものの、痛みを感じない場合は「痛くないから、放っておいてもイイかな?」と思われる方もいらっしゃるかと思います。
歯が欠けた状態を放置するのはよくありません。たとえ痛みがなかったとしても、歯が欠けた状態を放置すると以下のような悪影響が生じるおそれがあります。
[歯が欠けた状態を放置することで生じ得る悪影響の例]
1.むし歯が進行しやすくなる
歯が欠けると、歯の表面を覆うエナメル質の一部が取れた状態になります。
歯の欠けた深さがエナメル質の層に留まっている場合は、その内側にある象牙質は露出しておらず、象牙質への細菌感染の心配はさほどありません。
しかし、歯の欠けが深く、象牙質まで達している場合は象牙質が外気にふれる形になり、むし歯菌を含む細菌感染のリスクが高まります。
硬いエナメル質と比べ、象牙質はやわらかいです。歯が欠けて象牙質が露出していると、むし歯になったときに速いスピードで象牙質が侵されていき、短い期間で歯の神経にむし歯菌が達してしまうケースも。
2.噛み合わせが乱れることがある
歯の噛み合わせ面が欠けた場合、噛み合わせが乱れることがあります。
噛み合わせが乱れると、すべての歯を使ってバランスよく食べ物を噛みにくくなる場合も。
噛みにくさに加え、噛み合わせの乱れが原因で一部の歯・歯周組織(歯ぐきや顎の骨など)に偏った負荷がかかり、歯ぐきや顎の骨がダメージを受けて歯周病が進行するケースも見られます。
3.欠けた歯の損傷が進行しやすくなる
歯が欠けた場合、ちょっと見ただけでは、歯がもろくなっているとは感じにくいですよね。しかし、欠けていない歯と比べて、欠けた状態の歯は強度が低下しており、歯がもろくなった状態です。
歯がもろくなっているため、歯が欠けた状態を放置すると、欠けた部分からさらに亀裂が広がってしまうことがあります。
歯の亀裂により、歯の根っこである歯根が割れる「歯根破折(しこんはせつ)」が起きるケースも。歯根破折が起きたケースでは、多くの場合、抜歯(+ご希望の補綴治療)になります(※)。
(※)歯根の破折状況により、接着処置で歯を残せるケースもあります。
4.発音しにくくなることがある(特に前歯の欠け)
前歯が欠けた場合、欠けた箇所のすき間から空気が漏れて発音しにくくなることがあります。空気が漏れると、特にサ行・タ行の発音に支障が出やすいです。
5.口元の見た目の問題が生じることがある(特に前歯の欠け)
前歯は目立ちやすいため、前歯が欠けると口元の見た目に問題が生じることがあります。
■歯が欠けたとき、自分でできる応急処置は?
①舌や指で欠けた歯の部分をさわらない
舌や指で欠けた歯の部分をさわると、雑菌が歯の中に入り込む可能性があります。
エナメル質の下にある象牙質が露出している場合、舌や指で欠けた歯の部分をさわることで歯髄炎(しずいえん:歯の神経の炎症)をひき起こすおそれも。
②生理食塩水、歯牙保存液、牛乳があればそれらの液体の中に欠けた歯を入れて歯科医院へ持参し、診察を受ける
歯が欠けてから2時間前後以内であれば、欠けた歯をくっつけられる可能性があります(※)。
(※)欠けた歯をくっつけることを
保証するものではありません。
2時間以内の受診でも欠けた歯を
くっつけられない場合があります。
欠けた歯を持参して歯科医院を受診する際は、生理食塩水、または、歯の保存液(ネットやドラッグストアで購入可能)に欠けた歯を入れるのがベストです。
生理食塩水も歯牙保存液もない場合は、牛乳(できれば未開封の牛乳)に欠けた歯を入れる方法もあります。
【歯の欠けは放置せず、できるだけ速やかに歯科医院で受診を】
歯の欠けを放置するとむし歯の進行スピードが速まりやすくなるほか、歯・歯周組織に様々な悪影響が生じるおそれがあります。
歯の欠けは放置せず、できるだけ速やかに歯科医院を受診しましょう。