セラミックの詰め物・被せ物の寿命は?長持ちさせるためにはどうすればイイの?|浜松市でセラミック治療|ファミリアデンタルオフィス セラミック治療専門サイト

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セラミックの詰め物・被せ物の寿命は?長持ちさせるためにはどうすればイイの?


歯科治療で用いる詰め物・被せ物には、「耐用年数(寿命)」があるとされています。


詰め物・被せ物における耐用年数とは、以下のようなトラブルが起きるまでの期間です。


[詰め物・被せ物が正常に機能しなくなるトラブルの例]


・補綴箇所のむし歯など、二次的なトラブルが起きる(二次カリエス)

・変形・破損など、詰め物・被せ物自体に不具合が起きる


保険の銀歯・プラスチック樹脂のレジン


そして、


自由診療(自費)のセラミックの詰め物・被せ物


には、耐用年数に差があるのでしょうか?気になる方も多いかと思います。


そこで今回は、保険・自費別に「詰め物・被せ物の平均耐用年数」を比較してみました。


■保険の詰め物・被せ物の平均耐用年数


◎保険の銀歯・レジンは比較的、耐用年数が短いです

さかのぼりますが、30年ほど前に保険の銀歯、および、レジン(プラスチック樹脂製の白い詰め物・被せ物)の耐用年数の研究・調査が行われました。


調査の結果、自費のセラミックと比べて、「保険の銀歯・レジンは耐用年数が短い」という結果に。


[保険の銀歯・レジンの平均耐用年数]


・銀歯··················· 5~7年前後

・レジン················· 5年前後


(※)森田学 ほか「歯科修復物の使用年数に
関する疫学調査
」(1995)より引用。


◎保険の銀歯・レジンの耐用年数が短い理由

保険の銀歯・レジンの耐用年数の短さは、以下のような要素が原因と考えられています。


<銀歯のデメリット>


・金属のため、柔軟性が低く、歯との適合性があまり良くない

・保険診療で用いる接着剤は劣化しやすく、歯と詰め物・被せ物のあいだにすき間ができやすい

・金属である銀歯は、接着ではなく、機械的に歯に嵌め込む合着(ごうちゃく)のため、歯との密着性に劣る

・酸化により、詰め物・被せ物に金属の錆びが生じやすい


<レジン(プラスチック樹脂)のデメリット>


・吸水性が高く、劣化しやすい


—–


耐用年数が短い、保険の銀歯・レジン。銀歯やレジンの詰め物・被せ物をした歯が、再度、むし歯になったご経験がある方も多いのではないでしょうか?


次の項では、自費のセラミックの詰め物・被せ物の耐用年数をご紹介します。


■セラミックの詰め物・被せ物の平均耐用年数


◎セラミックの平均耐用年数は10年以上

歯科用セラミックは、通常のセラミック(陶器)と比べて、耐久性や審美性が優れている「ファインセラミックス」で作られています。


ファインセラミックスによる性質の高さに加え、歯科の自由診療(セラミック、ゴールド)は審美性や耐久性に優れた、さまざまな材料を使える利点も。


歯科用セラミックの耐用年数を調べた研究では、セラミック製の補綴物は平均で10年以上の寿命を持つことが報告されています(※)。


[歯科用セラミックの平均耐用年数]


・セラミック··········· 10年以上


(※)Morimoto, S ; Rebello de Sampaio, F B W ; Braga, M M ; Sesma, N ;
Özcan, M「Survival Rate of Resin and Ceramic Inlays, Onlays, and Ove
rlays: A SystematicReview and Meta-analysis
」(2016)より引用。


◎セラミックの耐用年数が長い理由

以下のような要素により、保険の銀歯・レジンと比べて、セラミックの詰め物・被せ物は耐用年数が長い点がメリットです。


<セラミックのメリット>


・吸水性が低く、詰め物・被せ物が劣化しにくい

・陶器でできているため、歯との適合性が高く、二次カリエス(治療をした歯が再度、むし歯になること)が起きにくい

・接着剤との相性が良く、歯と詰め物・被せ物がぴったりとすき間なく密着しやすい

・表面がつるんとしており、詰め物・被せ物についた歯垢や食べかすなどの汚れを落としやすい


◎種類により、セラミックの耐用年数に差が生じることも

セラミックには、以下のように、さまざまな種類があります。


[セラミックの硬さ(曲げ強度:MPa)]


・ポーセレン··········· 80~120MPa前後

・e-max················· 400MPa前後

・ジルコニア··········· 1,000MPa前後


強度に差があるため、セラミックの種類ごとに、耐用年数に差が生じる場合も。


セラミックの中でも、特に、審美性に優れているのがポーセレン。審美性が高い反面、ポーセレンは強度が低めです。


患者さんや使い方(硬い物を頻繁に噛み続けたなど)によっては、ポーセレンで覆われた詰め物・被せ物は表面部分の割れ・欠けにより、10年以下で寿命を迎えるケースも。


割れ・欠けの可能性があるポーセレンに対し、詰め物・被せ物の素材すべてがジルコニアで作られているジルコニアセラミック(オールジルコニア、フルジルコニア)は強度が高いです。


強度が高いオールジルコニアは、平均耐用年数である10年以上、詰め物・被せ物を長持ちさせられる可能性も。


ジルコニアは、銀歯(400~800MPa前後)と同程度~銀歯以上の強度です。通常の使い方であれば、ジルコニアの詰め物・被せ物が割れたり欠けることはほぼありません(※)。


(※)ジルコニアの詰め物・被せ物が、絶対に

割れ・欠けを起こさない訳ではありません。


■セラミックの詰め物・被せ物をより長持ちさせる方法は?


◎必ずしも、セラミックの詰め物・被せ物が10年で使えなくなる訳ではありません

調査では、歯科用セラミックは平均で10年以上の耐用年数という結果が報告されています。ただし、必ずしも、セラミックの詰め物・被せ物が10年で使えなくなる訳ではありません。


10年以上という期間はあくまでも、調査上の平均耐用年数です。


以下のセルフケア・プロケアを継続することで、平均の耐用年数以上に、セラミックの詰め物・被せ物を長持ちさせやすくなります。


≪セラミックの詰め物・被せ物を長持ちさせるために欠かせない2つのケア≫


・ご自身で行う毎日の歯みがき+歯間清掃(セルフケア)

・歯科医院で受ける定期的なセラミックのメンテナンス(プロケア)


反対に、上記の2つのケアのどちらか1つでも怠ってしまうと、平均以下の年数でセラミックの詰め物・被せ物が寿命を迎えてしまうケースも。


【長持ちさせやすいセラミックで、詰め物・被せ物のご不安を軽減】


保険の銀歯・レジンと比べて、平均耐用年数が10年以上と長い、セラミックの詰め物・被せ物。


今回、ご紹介はしませんでしたが、自費のゴールド(金合金)も、とても耐用年数が長いです。ゴールドの補綴物の耐用年数を調べた研究では、40年以上の生存率が平均で約94%と報告されています(※)。


(※)Terry Donovan,R J Simonsen,G Guertin,R V Tucker「Retros
pective clinical evaluation of 1,314 cast gold restorations in
service from 1 to 52 years
」(2004)より引用。


セラミックのほか、長持ちする詰め物・被せ物をご希望の方には、自費のゴールドもオススメです。ただし、ゴールドは金属のため、キラリと光って見えてしまうデメリットがあります。また、銀歯と比べると確率は低いですが、ゴールドには金属アレルギーを起こし得る可能性も。


– 以前と比べ、現在はセラミックの割れ・欠けが起きにくくなっています –


以前の、補綴物全体がポーセレンで作られたセラミックは強度が低く、詰め物・被せ物が割れたり欠けることがありました。


現在は、美しさとしなやかさを併せ持つe-maxや金属と同程度の強度を持つジルコニアなど、さまざまなセラミック素材が登場・普及しています。


素材と共に治療方法も進化しており、以前と比べて、セラミックの詰め物・被せ物の割れ・欠けは起きにくくなっています。


「セラミックは壊れやすいのでは?」とご心配な方も、どうぞご安心して、セラミックの詰め物・被せ物をご検討ください。


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